井上良斎を高価買取!陶芸作家の査定ポイントを徹底解説!

1.井上良斎を売りたいお客様へ

井上良斎は江戸末期から活躍した陶芸家で、初代は輸出用の花器など、美術陶磁器を主に作陶していました。白磁の釉下着彩技法を極めた二代目においては、明治時代の陶芸界を代表する作家として知られています。板谷波山に師事した三代目・井上良斎は、落ち着いた色調の磁器を作陶し、日本芸術院賞や勲三等瑞宝章などを受賞しました。豪奢で華美な印象の初代とは大きく異なる三代の作風は、年月が経つごとに味わいを増すものであるといえるでしょう。

2.井上良斎についての解説

江戸時代後期から明治時代前期にかけて全盛期となった輸出陶磁ですが、初代・井上良斎も欧米への輸出用に作陶を続けました。写実的で絢爛豪華な作品は、職人工芸というよりも美術工芸的なものだといえるでしょう。東京・浅草に窯を築いたために「隅田焼」を名乗っていた井上良斎ですが、欧米に輸出した作品が多かったために国内での知名度はそれほど高くはありません。一方、三代・井上良斎は関東大震災の被災をきっかけに横浜に移り住み、そこで開窯しました。そのため、「神奈川焼」を名乗っており、掻き落としと呼ばれている、陶磁器の表面を削って異なる色合いを引き出して模様にする技法が特徴となっています。

3.井上良斎の歴史

尾張藩の窯師として尾張から江戸の町へ出た初代は、高須藩松平摂津守江戸藩邸のお抱え陶工となりました。1866年に独立して浅草今戸に窯を築き、欧米向けの輸出陶磁を作ります。瀬戸生まれの二代・井上良斎は初代の養子となって号を継ぎ、瀬戸で伝統的に行われていた置物制作を意識した、陶による彫刻である陶彫なども行いました。初代の長男である三代・井上良斎は17歳のときに家業を継ぎ、陶芸に一切の妥協を許さなかった板谷波山に師事します。1914年に三代目井上良斎を襲名した後、1928年に帝院に初入選を果たし、以降次々と賞を受賞して陶芸家としての地位を確立しました。

4.井上良斎の代表作や作者

『巌上白鷲置物』(二代・井上良斎) 『釉下彩紫陽花香炉』(ニ代・井上良斎) 『高浮彫群猿茶家』(二代・井上良斎) 『基盤形正方香炉』(三代・井上良斎) 『天目釉花弁文花瓶』(三代・井上良斎)

5.井上良斎の買取査定ポイント

井上良斎の買取査定ポイントは、保存状態の良さにあるといえます。初代も二代・井上良斎も優れた作品を遺していますが、二代・井上良斎は写実的で大胆なデザインの作品が多く、観賞用として出品するためには保存状態の良さが問われるといえるでしょう。三代・井上良斎も数多くの作品がありますが、作品によって買取額に大きな差があります。少しでも高価買取を希望している場合には、共箱などの付属品も付けるようにすると良いでしょう。
  • 保存状態が良好かどうか
  • 鑑定書などが付いているか
  • 共箱が付いているか
  • 人気のある作家のものか
  • 市場需要のある作品か

6.井上良斎の取引相場価格

井上良斎の取引相場価格は、およそ2万円~8万円ほどです。当然のことですが、作家や作品によっては高額で取引される場合もありますが、茶道具類よりも香炉や壺のほうが高額で買取されているようです。保存状態が良く、共箱付きの二代・井上良斎の作品「窯変青磁花瓶」はおよそ8万円で取引されています。一方、茶道具である三代・井上良斎の「唐物意辰砂茶入」は、井上良斎の号と作品名がしたためられた共箱付きで、約4万円となっています。

7.井上良斎の買取についてのまとめ

海外に輸出するための磁器を主に作っていた井上良斎は、優れた作品が多いにもかかわらず一般の人の間ではあまり知られていない陶芸家です。美術品としてだけではなく、日常使いができる茶器や皿などの作品もあるため、作品ごとに評価に差があります。しかし、陶芸を愛する人々や収集家たちの間では評判が良く、作品によっては思わぬ高額査定がなされる場合もあるでしょう。