掛け軸の買取査定のポイントは?

1.掛け軸を売りたいお客様へ

掛け軸とは、主に床の間に飾るために書画を布や紙で表装したものを指します。縦長のものを縦軸、横長のものを横軸と呼びます。仏教を広めるためのものとして日本に入ってきたといわれています。その後日本の文化に取り入れられ、独自の発展をしました。特に鎌倉時代に水墨画の流行と共に一般的に知られるようになったとされます。茶室に掛けるものを茶掛け、仏壇で使うものを仏掛けと呼ぶこともあります。
骨董品としてコレクターも多いため、売りやすい商品です。

2. 掛け軸についての解説

中国の北宋時代には掛け軸が用いられていたとされます。しかしこの頃の掛軸は観賞用とは違い、主に礼拝用であったといわれています。主に仏画などが描かれていました。日本へは飛鳥時代に伝来し、鎌倉時代後期に水墨画が流行したことから一気に広まりました。
仏画、花鳥画、山水画などの絵を描いたものから、書などの文字が描かれた掛け軸まで多彩な種類があります。

3. 掛け軸の種類

掛け軸にも様々な種類があります。その分類もいくつかあり、たとえば描かれた題材で分類します。仏画、花鳥画、山水画などがそれにあたります。また掛け軸を飾る場所によって分けたりすることもあります。床の間に掛けるものを「床掛け」、茶室には「茶掛け」、仏壇に掛けるものは「仏掛け」と呼びます。
それでは詳しくご紹介します。

3-1.山水画

山水画とは、中国発祥のジャンルです。その名の通り、河川や山岳、樹木、岩石などの情景を描いたものをいいます。実際の景色を写生したものもありますが、想像された景色を描いたものが多いです。
中国では山岳や河川を神仏や霊獣のすみかの表現として用いました。また山岳信仰が盛んであったため、山水画が成立したといわれています。日本でも好んで描かれた題材です。

3-2. 花鳥画

花鳥画は、中国で始まり、朝鮮や日本でも好まれた題材です。花や鳥だけでなく、草木、虫、小動物などを描いたものを「花鳥画」といいます。最も古く描かれてきた題材とされ、土器や青銅器などにも描かれています。

3-3. 肉筆浮世絵

浮世絵は通常版画などで描かかれますが、浮世絵師が直接髪や絵絹に描いたものを肉筆浮世絵といいます。町の風俗、町人の日常生活、風景、物語、花鳥など題材は多岐にわたります。当時は富裕層に向けて描かれ高価なものでした。

3-4. 色紙

紙製品の一種で、絵画のみならず、書画にも用いられます。正方形に近い厚紙で作られています。

3-5.墨跡

墨跡は正式名称を「禅林墨跡」といいます。禅林高層の直筆の物を指します。
中国では直筆全体のことを指しますが、日本においては極めて限られた範囲にしか使われていません。日本へは鎌倉時代に伝来しました。鎌倉時代に禅僧によって交流が再び始まったためです。人間味に富んだ書は、武士階級に好まれ多大な影響を及ぼしたと言われています。

3-6.その他

連作の書画を同じ表装にしたものを「対幅」といいます。対幅には龍虎図などの双幅、観音、鶴など描いた三幅対、四季を表す四幅対などがあります。これらを床の間に掛けて楽しむことから「床掛け」ともいいます。
四季の掛け軸とはそれぞれの季節に相応したものです。また四季の花が描かれており、1年中掛けることのできるものもあります。自然に感謝をしてきた日本人ならではの心を感じることができます。四季ごとに替えるのが大変な場合は、ハレの日だけ祝いの絵柄が描かれた掛け軸を掛けるのもおすすめです。
また庶民向けに安価・簡素に製造されたものもあります。昔の北関東では、子どもが生まれると初正月に掛け軸を贈る習慣がありました。七福神や武者、美人画などが好まれていました。

3-7.表装の種類

表装にもいくつかの様式があります。これらの様式は茶道と共に確立したといわれています。特に座って見た特に美しく見えるように作られています。
畳の大きさも考慮されており、関東よりも畳の大きい関西は掛け軸の上部が若干短めにつくられています。

  • 大和表具

天、中回し、地の三段に分かれており、風帯を一対下げます。表層の最も一般的な様式とされています。

  • 文人表具

大和表具の天地と風帯を略したものです。中回しの上下を伸ばしています。

  • 茶掛表具

中回しの幅を狭めたものです。主に茶席などに用いられます。
また軸には象牙、紫檀、水晶などが用いられることがあります。画題によって素材を変えますが仏画は金属や水晶、南画には木が主に使われます。

  • 本尊表具

中回しの左右も囲むようにした様式です。神仏に関した絵に用います。

4.掛け軸のサイズと種類

掛け軸には様々な大きさがあり、大きさによってそれぞれ名称がつけられています。掛け軸は床の間とのバランスが大事ですので、自宅に飾る場合は床の間のサイズを測っておきましょう。床の間ではなく、壁に掛ける場合もバランスを保つためにサイズを測るのがおすすめです。
小ぶりの床の間や高さに制限がある場合は、横軸やあんどんタイプが良いでしょう。掛け軸によっては紐などで調整できる場合もあります。目安として、床の間の幅の3分の1がちょうど良いといされています。

4-1.尺五立

最も一般的な掛け軸のサイズで、幅約61cm、長さ約190cmです。横幅が一間の床の間におすすめです。

4-2. 尺八立

尺五立よりも幅が広い幅約71cm、長さ約194cmなので仏画などがよく映えます。

4-3. 尺五横

幅約61cm、長さ約142cm長さの短い掛け軸なので小さい床の間におすすめです。

4-4.尺八横

幅約71cm、長さ約136cm尺八立の長さが短いタイプで、「横物」とも呼ばれています。

4-5. 半切立

幅約51cm、長さ約181cmの画仙紙に合わせたサイズで、書に多いです。マンションなどの床の間におすすめです。

4-6.花を飾る場合

床の間に掛け軸と一緒に花を飾る場合も多いと思います。花入れは掛け軸の右側に置きます。掛け軸が幅広で短いものの場合は、掛け軸の真下に置きます。

4-7.釘の種類

掛け軸を飾る場合は釘やフックを壁にうちつける必要があります。この釘にも場所や流派によって異なります。

  • 中釘

一般的な床の間用の釘です。壁の中央に打ち付けます。花入れを掛ける際にも使用されます。

  • 無双釘

カギの部分が動かせる釘です。壁の中にしまうこともできます。

5.掛け軸の各部名称

掛け軸には、場所によって細かく名称が定められています。これは自分自身の環境を表現しているといわれています。自身が本紙の部分で、四季の移ろいや風景、家族への思いなどが描かれています。その上には天、半月があり、風帯が風を表現しています。そして下には地があり、木で作られた軸木で木々や大地を表現しています。
掛け軸の名称を覚えておくと、購入や買取査定の際にどの部分を指しているのかが分かりやすくなります。

5-1.本紙

掛け軸のほぼ真ん中にある作品自体のことです。自分自身を表現しているとも言われています。

5-2.表紙

本紙以外の表装された部分のことです。八双や軸は除きます。

5-3.中回し

本紙を取り囲むようにある部分です。中縁とも呼ばれます。本紙の左右にあるものを「柱」といいます。

5-4. 天地

本紙の上下にあるものです。上にあるものを天、下にあるものを地といいます。

5-5. 風帯

天の部分にある帯のようなものです。左右を3等分し、天の長さ分垂らしています。

5-6.八双

掛け軸の一番上に付けられた半月形をした木のことです。

5-7.軸棒

軸先をつける木の棒です。材質は杉が多いです。

5-8.軸助

軸をタウSけるため、軸の裏の両端に貼る紙のことです。

5-9.一文字

本紙の上下につけられた質の高い裂地のことです。上にあるものを上一文字、下にあるものを下一文字といいます。

5-10.露花

垂風帯の下に小さな綿糸をつけたものです。

5-11.巻絹

掛け軸を巻いた時、外になる部分に使用する絹地のことです。

5-12.小口

掛け軸を巻いたときの両端です。

5-13.巻紙

巻緒を巻いた時、表具を痛めないために巻緒の下に巻く布のことです。

5-14.外題

掛け軸の内側を巻く、軸の裏の両端にはる紙片のことを指します。

5-15.紐

掛緒と巻緒に使用されます。平紐が主に使用されます。

6.掛け軸の取り扱い方

掛け軸を掛ける際には手順があります。掛け軸には様々なパーツがついているため、一気に広げてしまうと傷んでしまうことがあります。優しく扱いましょう。
掛け軸を掛ける際には、釘やフックを用います。先端がY字状やU字状になっている矢筈と呼ばれる道具を用いて釘やフックに掛けます。それでは詳しい取り扱い方法をご紹介します。

6-1.掛ける時

まず掛け軸に巻かれた紐(巻緒)を解き、掛け軸の上部ある掛緒の右側に寄せておきます。掛け軸本体を左手に持ち、右手で矢筈と持ちます。そして矢筈の金具を掛緒にかけて、釘やフックにひっかけます。ゆっくりと掛け軸を広げたら左右のバランスを取り、風帯を下に広げます。

6-2. 外す時

可能であれば2人で行いましょう。1人の場合は、矢筈を手元に置いておきます。
まず両手でゆっくりと軸を巻き取ります。きつく巻くと痛めてしまうので注意が必要です。そして本紙まで巻いたあたりで、左手で掛け軸を、右手で矢筈を持ちます。矢筈で掛緒を釘・フックから外したら、折らないように注意しながら下におろし最後まで巻き取ります。
風帯がある場合は、向かって左手側にある風帯を右手側の下に曲げ込みます。そして右手側の風帯を、左手側の風帯の上に乗せます。

7. 掛軸の収納方法

掛け軸は湿気の多い場所に保管すると、シミ、カビ、虫が発生しまいます。これらの汚れが発生してしまうと、掛け軸の価値が大きく下がってしまうので、保存には注意が必要です。保存する際は桐箱などに納め、温度変化の少ない場所に保管しましょう。桐箱に、香木や防虫香などを一緒に納めるのもおすすめです。
押し入れなどにしまっている方も多いですが、押し入れは風通しが悪く、湿気も子守やすい場所です。押し入れしか収納場所が無い場合は、すのこを利用したり、定期的に虫干しなどを行いましょう。
また掛け軸を納める方法にも種類があります。

7-1.桐箱収納

桐は保温・耐火性が高く、丈夫なので骨董品を保存する際にはよく使われています。さらに桐が虫を寄せ付けにくい成分を発し、湿度を一定に保ってくれるので、特に掛け軸の保存には向いています。

7-2. 二重箱収納

桐箱を漆箱に収納することで、防湿、防虫効果を高めた収納方法です。

7-3. 太巻方法

掛け軸を保存する際には、ゆるく巻くことが重要です。そこで太巻きと呼ばれる桐で作られた芯を軸棒に取り付けて巻くと、自然とゆるく巻くことができます。

8. 掛け軸の歴史

掛け軸は中国の北宋時代には用いられていました。この頃は主に礼拝用として使用されていたとされます。持ち運びが簡単なため、仏教の普及用に仏画が描かれることも多かったようです。
日本へは飛鳥時代に伝来し、鎌倉時代後期の水墨画の流行と共に流行したといわれます。この頃より掛け軸は礼拝用としてより、芸術作品として扱われるようになります。室町時代以降は、茶室に掛けられた掛け軸が多く制作されるようになります。季節、来客者、時間に合わせた掛け軸を掛け替える習慣はこの頃に生まれたといわれます。
江戸時代になると、明朝式表具が伝来し、文人表装などの掛け軸が作られるようになります。また表具の技術が大きく発展したことから、華やかな掛け軸が多く作られました。現在では身近に楽しめる芸術作品として人々に愛されています。

9. 掛け軸の買取査定ポイント

掛け軸は作家によっては数百万円を超える高額査定が出ることもある骨董品です。そのため買取業者は慎重に選ぶことが重要です。また有名作家ものか、無名作家のものかによって査定額が大きく違うので、真贋も大きなポイントです。さらに保存状態や市場価格など買取査定に影響するポイントはいくつかあります。
ここでは掛け軸の買取査定を行ってもらう際のポイントをご紹介します。

9-1.専門の鑑定士(査定員)がいる業者を選ぶ

掛け軸はまずどの作家の作品かを鑑定します。無名作家の場合は購入価格より大きく価値が下がる場合が多いので注意しましょう。さらに真贋が重要なため掛け軸の買取は多くの業者で行っていますが、まずは専門の鑑定士がいるかどうかをチェックします。有名作家だと思っていたものが偽物だった、無名作家だと思っていたものが有名作家の作品だったということは良くあります。そのため信頼できる業者を選ぶことが重要です。

9-2.複数の業者を比較する

掛け軸に対して知識がない場合、提示された買取価格が適正か判断できないことも多いかと思います。そのため、複数の業者で買取査定を行ってもらいましょう。
近年では査定のみは無料という業者も多いです。また査定を通して業者の雰囲気も感じとることができます。信頼できる業者を見つけるためにも、複数の業者で比較するのがおすすめです。

9-3. 保存状態

保存状態が悪ければ、買取価格は下がってしまいます。しかし注意しなければいけないのが、自分では修復をしないということです。掛け軸の修復は専門の人間が行う繊細な仕事です。そのため素人が安易に手を出してしまえば、逆に掛け軸を傷つける恐れがあります。そのため状態が悪くてもそのまま業者に持ち込みましょう。有名作家の作品であれば、状態が悪くても高額査定となる可能性があります。

9-4.付属品

箱や袋がある場合は、必ず一緒に持ち込みましょう。掛け軸の箱には作者、年代、購入場所が書かれていることが多く、証明証にもなるからです。そのため、箱の有無で買取価格に差が出てしまうこともあります。

9-5.市場価値

掛け軸の買取価格に影響するものとして、市場価値も挙げられます。販売経路によって、掛け軸が売れる価格が異なります。そのため多くの販売経路を持つ買取業者を選ぶことも大切です。
特に掛け軸は国内だけではなく、世界中で人気のある骨董品です。そのため海外にも販売経路を持っている業者の方が、買取価格が高くなる可能性があります。

10. 掛け軸の取引相場価格

掛け軸は作家や保存状態により価格が大きく異なります。たとえば、中国近代画家の斉白石作の「蝦図」は約330万円です。清朝期より中国と関わりのあった家の秘蔵品で、縦約68.2cm、横約34.6cmです。経年による痛みや汚れはありますが、キレイな状態です。
また同じく中国掛け軸の「一行書」は約260万円です。サイズは 本紙25.3cm×62.5cm、 全体50cm×190cmの肉筆です。中国書法で描かれたもので、経年によるスレがあります。鑑定書などは付属しません。

11.掛け軸の買取についてのまとめ

掛け軸は中国から日本へ伝来し、芸術作品として鑑賞されるようになりました。絵画や書を表装しもので、床の間や茶室、仏壇に掛けられます。
題材も様々で、仏画、山水画、花鳥画、色紙などがあります。季節や来訪者などにより掛け替えて楽しむこともできます。高価な骨董品から庶民向けに安価に販売されているものもあります。
日本国内のみならず、海外でも人気の骨董品です。そのため有名作家の作品や、保存状態の良いものであれば高額査定の可能性もあります。